オードリー・イルマス賞2018

2017年11月17日、バードカレッジ・センター・フォー・キュレトリアル・スタディーズ(以下、CCS Bard)は、展覧会制作の発展に貢献したキュレーターの功績を讃えるオードリー・イルマス賞の2018年度の受賞者に、ニューヨークのロウアー・イースト・サイドにあるオルタナティブスペース「PARTICIPANT INC」の設立者、リア・ガンジターノを選出したと発表した。ガンジターノには2018年4月9日に開かれる授賞式で、賞金25,000ドル(約281万円)が授与される。

CCS Bardエグゼクティブ・ディレクター、トム・エクルズは、ガンジターノが社会の主流から取り残され、周縁に追いやられてきたアーティストや作品を扱う展覧会制作の先駆者として、30年以上にわたって展覧会やプロジェクトを企画し、ニューヨークの文化に多大なる貢献をもたらしてきた実績、”グローバル・キュレーティング”の時代の中で、共同体という考え方の上に成り立つ多様なプログラムを生み出し、支えてきた地域へのアプローチを授賞理由に挙げた。

リア・ガンジターノは、2001年に設立した非営利アートスペース「PARTICIPANT INC」をはじめ、キャリアを通じて、人種やジェンダーの問題に取り組むアーティストを支える活動を継続している。PARTICIPANT INCでは、ヴァージル・マルティ、チャールズ・アトラス、ケーテ・バークハート、ミシェル・オーダー、ルネ・グリーンなどの作品を紹介。2014年には、1980年代にイースト・ヴィレッジのアンダーグラウンドシーンで活動し、96年に38歳で亡くなったグリア・ランクトンの小規模な回顧展を開催した。90年代にはICAボストンのアソシエイト・キュレーターとして、『Dress Codes』(1993)や『Boston School』(1995)の共同キュレーションを手がける。その後、ニューヨークの非営利アートスペース「Thread Waxing Space」(1991-2001)で、『Spectacular Optical』(1998)や、ルーサー・プライス(1999)、ボーレ・サスル(2000)、シガリット・ランダウ(2001)の個展を企画。また、2009年にはMoMA P.S.1のルッツ・バッハーの個展のキュラトリアル・アドバイザーを務めた。そのほか、書籍やカタログへの執筆、バードカレッジやニューヨーク大学などでレクチャーを担当している。

オードリー・イルマス賞は、現代美術やキュラトリアル・スタディーズにおける世界有数の研究機関として知られるCCS Bardが1998年に設立した賞で、2012年よりボードメンバーのオードリー・イルマスの名を冠している。

CCS Bard Award for Curatorial Excellencehttp://www.bard.edu/ccs/visit/about-ccs-bard/award-for-curatorial-excellence/


歴代受賞者
2017|ニコラス・セロータ
2016|テルマ・ゴールデン
2015|クリスティン・トーメ、マーサ・ウィルソン
2014|チャールズ・エッシュ
2013|エリザベス・サスマン
2012|アン・ゴールドスタイン
2011|ヘレン・モールスワース、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト
2010|ルーシー・リッパード
2009|オクウィ・エンヴェゾー
2008|カトリーヌ・ダヴィッド
2007|アラナ・ハイス
2006|リン・クック、ワシフ・コルトゥン
2005|キャシー・ハルブライヒ、マリ・カルメン・ラミレス
2004|ウォルター・ホップス
2003|キナストン・マクシャイン
2002|スザンヌ・ゲッツ
2001|ポール・シンメル
2000|カスパー・ケーニヒ
1999|マルシア・タッカー
1998|ハラルド・ゼーマン

Copyrighted Image