サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2017


Serpentine Pavilion 2017, Designed by Francis Kéré, Design Render, Exterior ©Kéré Architecture

ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーは、毎年恒例となった夏季限定パビリオンの設計者に、ブルキナファソ出身でベルリンを拠点に活動する建築家、ディエベド・フランシス・ケレを抜擢した。ケレは故郷ブルキナファソにおける木の役割に着想を得た、人と人、人と自然とが出会うパビリオンを建設。

ディエベド・フランシス・ケレは1965年ブルキナファソ・ガンド生まれ。地元で受け継がれてきた技術や入手可能な素材を現代工学と組み合わせた革新的な方法を取り入れた建築や建築プロジェクトで知られ、2004年にイスラム文化圏の優れた建築や建築プロジェクトを表彰するアガ・カーン賞を受賞したガンド小学校を含むガンド村建設プロジェクトは、国際的に高い評価を得ている。ケレは小学校を出てから大工の見習いとして働き、20歳のときに奨学金を得てドイツへ留学。木工技術学校、夜間高校を経て、30歳でベルリン工科大学に入学。在学中の98年に故郷に小学校を建てる資金を集めるために財団を設立。2005年にベルリンに事務所を開設。現在はブルキナファソのほか、マリ、中国、モザンビーク、ケニア、トーゴ、スーダン、ドイツ、スイスでプロジェクトを進行中。クリストフ・シュリンゲンジーフの「オペラ村」建設計画にも建築家として関わっている。また、ベルリン工科大学、ハーバード大学デザイン大学院、メンドリジオ建築アカデミーで教育に携わっている。ロンドンのロイヤルアカデミー(2014)やニューヨーク近代美術館(2010)の企画展でもその活動が紹介されており、昨年はミュンヘン工科大学美術館とフィラデルフィア美術館で個展を開催。Hatje Cantzから『FRANCIS KÉRÉ – RADICALLY SIMPLE』が出版された。

サーペンタイン・ギャラリーの前ディレクター、ジュリア・ペイトン・ジョーンズが2000年にはじめた本企画は、抜擢された建築家による実験的な試みが発表される場として国際的に広く知られている。今回のケレの抜擢は、デイヴィッド・アジャイとリチャード・ロジャースのアドバイスのもと、アーティスティック・ディレクターのハンス・ウルリッヒ・オブリストとCEOのヤナ・ピールが決定した。ケレ設計のパビリオンは6月23日から10月8日まで無料で公開され、「Park Nights」や「Build Your Own Pavilion」といったイベントの会場となる。

サーペンタイン・ギャラリーhttp://www.serpentinegalleries.org/


Gando Primary School; Gando, Burkina Faso, 2001 © Simeon Duchoud


Gando Primary School; Gando, Burkina Faso, 2001 © Enrico Cano


過去のパビリオン設計
2016|ビャルケ・インゲルス
2015|セルガスカーノ
2014|スミルハン・ラディック
2013|藤本壮介
2012|ヘルツォーク&ド・ムーロン、艾未未
2011|ピーター・ズントー
2010|ジャン・ヌーヴェル
2009|SANAA
2008|フランク・ゲーリー
2007|オラファー・エリアソン、シェティル・トールセン
2006|レム・コールハース(+セシル・バルモンド、アラップ)
2005|アルヴァロ・シザ(+セシル・バルモンド、アラップ)
2004|MVRDV(+アラップ)※実現せず
2003|オスカー・ニーマイヤー
2002|伊東豊雄(+セシル・バルモンド、アラップ)
2001|ダニエル・リベスキンド(+アラップ)
2000|ザハ・ハディド

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