鈴木朋幸 Tomo Suzuki

プロデューサー

【マシュー・バーニー】6時間の映像オペラ YCAM上映

 米国の美術家、マシュー・バーニー

 12年前のフィルム作品『拘束のドローイング9』(2005)では、
ビョークとコラボ!
ふたりの公開結婚式にもみえるフィルムだった。


マシュー・バーニー『拘束のドローイング9』日本上映チラシ

 金沢21世紀美術館マシュー・バーニー:拘束のドローイング展」にあわせ、
金沢市内でプレミア公開。後の「ヴェネチア映画祭」に正式招待されている。

 そんな『拘束のドローイング9』から、さかのぼること3年…

 2002年にマシュー・バーニーが完成させたのが、
クレマスター』シリーズとなる。

 全5部作のフィルム作品で、シリーズのうち『クレマスター1』(1996)を
のぞく4作品で音楽を担当したのが、ジョナサン・べプラーだ。


マシュー・バーニー『クレマスター』フィルム・サイクル日本上映チラシ

 時を経て…
そんなマシュー・バーニージョナサン・べプラーが、また協働!

 ノーマン・メイラーの小説「Ancient Evenings」(1983)を下敷きに、
ふたりの別視点からアメリカを描く映像オペラを仕上げている。

 タイトルは『RIVER OF FUNDAMENT』(2014)。

 全3幕からなる構成で、幕間に2回の休憩をはさみ、
6時間に及ぶ作品となる。


写真:Matthew Barney and Jonathan Bepler RIVER OF FUNDAMENT: BA, 2014 Production Still Photo: Hugo Glendinning
© Matthew Barney, Courtesy Gladstone Gallery, New York and Brussels.

 2014年の完成直後から、日本での上映を狙っていたが、
この度、山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA(300席)での
特別先行上映が決定した!

爆音映画祭」のオープニング作品として、
8/24(木)13:30より、1回限りの特別上映する。

YCAMが誇る高感度のDCPプロジェクターで、
8メートル以上のスクリーンにデジタル投映。

合計41台ものスピーカーを前後左右、床下にまで設置。
世にもまれなサラウンド音響が客席を取り囲む。

座席は、オペラと同じく全席指定である。
自由席ではない。

そんな特別体験を、限定300人にだけ提供する。

この手のイベントで ”あるある”は、
チケット完売後になって…
「それ、行きたかったんだよね〜。また、やってよ!」
とかいうコメント。

今のところ、山口市だけで上映。
それ以外の上映は、目処が立っていない。

6/24(土)より、YCAM会員向けチケット発売中。
一般発売は、7/1(土)となる。

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最新情報は、YCAM公式ポータルより:
http://www.ycam.jp/cinema/2017/ycam-bakuon-film-festival/

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マシュー・バーニー&ジョナサン・べプラー
RIVER OF FUNDAMENT』特別先行上映
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【日時】8/24(木)13:30〜(13:00開場)

13:30〜15:25 第1幕(1時間55分)
15:25〜15:45 休憩(20分)
15:45〜17:25 第2幕(1時間40分)
17:25〜17:45 休憩(20分)
17:45〜19:20 第3幕(1時間35分)

【会場】山口情報芸術センター(YCAM)スタジオA
   753-0075 山口県山口市中園町7-7
   http://www.ycam.jp

【座席】全席指定 限定300席

【前売券】
会員 6/24(土)発売 any会員・25歳以下・特別割引 5,000円
一般 7/1(土)発売 5,500円 

【当日券】
一般 6,000円 any会員・25歳以下・特別割引 5,500円
前売券が定員300席に達した場合は、当日券は販売しません。

【チケットご購入】山口市文化新興財団サイト:
http://www.ycfcp.or.jp/event_item.php?page=231

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RIVER OF FUNDAMENT
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2014年/アメリカ/361分(途中2回休憩を設けます)/DCP/7.1ch/カラー

監督:マシュー・バーニー
音楽:ジョナサン・ペプラー

提供:トモ・スズキ・ジャパン
後援:在日 アメリカ合衆国 大使館



写真:Matthew Barney and Jonathan Bepler RIVER OF FUNDAMENT: BA, 2014 Production Still Photo: Hugo Glendinning
© Matthew Barney, Courtesy Gladstone Gallery, New York and Brussels.

【予告編】3分版
https://www.youtube.com/watch?v=quyiQXG7GlY
2017年6月25日

【ケーススタディ】名古屋ボストン美術館(その3)最終回

 米国の名門、ボストン美術館と姉妹館になる名古屋ボストン美術館。

 1999年から20年間の契約で、ボストン側の収蔵作品を一部レンタルして展示するスタイルだが、入場者数が低迷し、慢性的な財政難。

 2019年の契約満了が迫る中、名古屋ボストン美術館が進むべく方向性をMBA(経営学修士)的に考察するのが、この投稿シリーズ。

 問題→原因→打ち手というアプローチを取り、今回がシリーズ最終回。
「打ち手」を提案する。

 まず、過去2回の投稿を振り返ると、名古屋ボストン美術館の


  ・本質的な「問題」はビジネスモデルにあり、
  ・その「原因」はビジョンがない点


と分析した。入場者数の下落は、表面的な現象でしかない。だから、仮に入場者が増えても黒字化できず、財政難は解決しない。

 そもそも名古屋ボストン美術館は、高層ビル開発の目玉テナントとして財界主導でハナシが進んだ模様。その結果、開館後の活動指針が曖昧なままで、以下の2点が明言されてないのだ。


  ・社会における館の位置づけ
  ・組織としての究極的なゴール


 要するに、名古屋ボストン美術館は、開館後の活動ビジョンを示す必要がある。それこそが、問題解決の打ち手につながる。

 そこで、「ボストン」「人的交流」「生涯教育」の3点をキーワードとしたビジョンを宣言し、打ち手として、次の方向性を提案したい(図5)。


  (A)運営財団は投資業で基金を増やす
  (B)美術館での展示はヤメて教育普及に特化
  (C)ボストン美術館とは“提携”で支払減額



 つまり、より多く稼ぎ、より少なく使う案。
稼ぐのは財団の仕事で、使うのは美術館の役割。その上で、具体的に名古屋ボストン美術館は、下記の通り、教育普及事業で世界一を目指すコトにする。


  (d)美術展は企画せず、貸しスペースの管理業務
  (e)ボストン美術館の収蔵作を語るプロを派遣
  (f)ディナーショー、企業研修での講演
  (g)ボストン美術館へのツアーでも語る
  (h)SNSで全世界とつながり、問に答える(要外国語)


 つまるところ、ハードとソフトの分離(図6)。
美術展の動員で“街おこし“みたいな甘い夢は捨て、“出前”講演を核にした交流を促す教育機関に変身するワケ。



その延長として、ボストンとオンラインで結ぶ対話サイトを運営して、老若男女のWEB英会話教室を経営するのも一案。“総合”美術館ではなく、スペースを持たない“専門”美術館として生き残るプランだ。

そのための基板整理を、今から始めるべきだろう。

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【参考文献】

名古屋市(2014)「名古屋市の姉妹都市」
http://www.city.nagoya.jp/shicho/page/0000006761.html

名古屋ボストン美術館(2015)「公益財団法人名古屋国際芸術文化交流財団 定款」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/a.pdf

中日新聞(2005年3月24日)「名古屋ボストン美術館『閉鎖は視野にない』」
http://koopop.jugem.cc/?eid=296

日本経済新聞(2012年4月3日)「名古屋ボストン美術館、遠のく客足 危機再び 」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFD22019_S2A400C1CN8000/

公益財団法人 名古屋国際芸術文化交流財団(2015)「平成25年度 決算報告書」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/h25_kessan.pdf

名古屋ボストン美術館(2015)「平成25年度 事業報告書」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/h25_jigyo.pdf

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【鈴木朋幸/Tomo Suzuki】
アート映画の企画、製作、上映が仕事。

水戸芸術館に勤務後、トモ・スズキ・ジャパン有限会社を設立。
取締役 社長として、
米国、欧州、東アジアと連携し、アートや映画の製作・発表を進める。

ニューヨーク大学(NYU)をFine Arts(美術史)専攻で卒業。
Bond-BBT大学院MBA(経営学修士)を歴代最短タイの1.5年で修了。
現在、ハーバード大学院で文化施設の自立運営について研究中。

http://www.tomosuzuki.com/
2015年6月22日

【ケーススタディ】名古屋ボストン美術館(その2)

 米国で屈指のコレクションを誇るボストン美術館。その収蔵作品を借りて、展示する名古屋ボストン美術館。

 1999年の開館から20年間の契約で姉妹館になるが、入場者数は低迷し続け、慢性的な財政難。

 2019年の契約満了が迫る中、名古屋ボストン美術館が進むべく方向性をMBA(経営学修士)的に提案するのが、この投稿シリーズ。

 問題→原因→打ち手というアプローチを取り、前回の投稿では「問題」を指摘した。そこで、本質的な問題は現状のビジネスモデルであり、入場者数の低迷は表面的な現象にすぎない、と書いた。

 今回は、その「原因」を追求。次回に「打ち手」を投稿しよう。

 図4の通り、名古屋ボストン美術館は、毎年の赤字分を主に寄附金からなる財源から補てんするモデルだ。いわば、資本(純資産)を取り崩して費用に充てる状態。



 一般的な公立美術館みたいに毎年の費用を毎年の収益(主に自治体からの補助金)でカバーするモデルではない。

 だから、純資産(寄附金が元手のおカネ)がゼロになる時、単年度で黒字化してないと、名古屋ボストン美術館は破産する。そうした問題の原因を探ると、組織としてのビジョンがない点に突き当たる。

 「ビジョン」とは半永久的に到達できない究極のゴールで、関係者全員の行動指針になる言葉。それを宣言しない限り、「ミッション」が確立できず、「ヴァリュー」も浸透しない。当然、戦略は一貫性を欠く。

 名古屋ボストン美術館の場合、運営財団の定款に「目的」はあるが、略式化すると次の通りだ。要は、抽象的すぎてビジョンになっていない!


  【目的】
   美術館の運営+海外との交流+文化振興 = 県民らに美術館賞の機会提供
    →国際的芸術文化交流の進展+地域文化の振興
         (公益財団法人名古屋国際芸術文化交流財団 定款 第1章 第3条)


 そもそも財界主導の名古屋ボストン美術館は、中心部から離れた金山の再開発で
高層ビルのアンカーテナントにされたフシがある。明記されてないものの現実には高い賃料の支払が求められているワケ。

 したがって、文化的な「目的」と商業的な役割の折り合いをつける「ビジョン」が必要である。

 「ビジョン」があれば、それを目指す戦略を検討できる、という流れだ

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【参考文献】

名古屋市(2014)「名古屋市の姉妹都市」
http://www.city.nagoya.jp/shicho/page/0000006761.html

名古屋ボストン美術館(2015)「公益財団法人名古屋国際芸術文化交流財団 定款」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/a.pdf

中日新聞(2005年3月24日)「名古屋ボストン美術館『閉鎖は視野にない』」
http://koopop.jugem.cc/?eid=296

日本経済新聞(2012年4月3日)「名古屋ボストン美術館、遠のく客足 危機再び 」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFD22019_S2A400C1CN8000/

公益財団法人 名古屋国際芸術文化交流財団(2015)「平成25年度 決算報告書」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/h25_kessan.pdf

名古屋ボストン美術館(2015)「平成25年度 事業報告書」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/h25_jigyo.pdf

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【鈴木朋幸/Tomo Suzuki】
アート映画の企画、製作、上映が仕事。

水戸芸術館に勤務後、トモ・スズキ・ジャパン有限会社を設立。
取締役 社長として、
米国、欧州、東アジアと連携し、アートや映画の製作・発表を進める。

ニューヨーク大学(NYU)をFine Arts(美術史)専攻で卒業。
Bond-BBT大学院MBA(経営学修士)を歴代最短タイの1.5年で修了。
現在、ハーバード大学院で文化施設の自立運営について研究中。

http://www.tomosuzuki.com/
2015年6月21日

【ケース スタディ】名古屋ボストン美術館(その1)

 全米屈指のコレクション数を誇るボストン美術館。

 その姉妹館が名古屋ボストン美術館だ。
自前の収蔵作品を持たず、ボストン側から借りて、展示するスタイル。金山駅に隣接する超高層「金山南ビル」の3階〜5階に入居している。

 ちなみに、ボストン市と名古屋市は姉妹都市ではない。

 その名古屋ボストン美術館には、1999年の開館年度に70万人以上が訪れたけど、翌年度から入場者数が下落。

 入場料収入が低迷する中、毎年100万ドル+5年ごとに500万ドル(20年で計4,000ドル)を払う契約のボストン美術館への“寄付金”が重荷となり、2006年には存続の危機。当時、地元の経済界が36億円の寄付金を集め、開館時に寄附した70億円に追加して再支援した。

 そのペースで赤字が続いたら財源が枯渇と噂されつつも、開館20周年目の2018年まで存続する模様(図1)。



 そこでMBA(経営学修士)らしく、現状を分析の上、今後の方向性を提案してみよう。

 問題→原因→打ち手 というアプローチを取るが、今回の投稿は「問題」のみ。
原因→打ち手は、次回以降に書くことにする。

 まず指摘したいのは、動員力不足は表面的な現象で、本質的な問題ではない点。
理由は、仮に入場料収入をアップしても、黒字化は物理的に不可能なため。

 直近の決算書をみると、2013年度の「受取寄附金振替額」は5億円。経常収益の70.1%に上る(図2)。つまり、別会計から5億円を補てんしないと、名古屋ボストン美術館は運営できないワケ。



 仮に、その5億円分をまるまる入場料収入で稼いで収益分岐点と想定すると、収支トントンの入場料収入は6億1,247万円強になる。


  実際の入場料収入 1億1,247万円強 + 仮想の入場料収入 5億円 = 6億1,247万円強


 その上で計算を進めると、1人が1時間で鑑賞する場合、鑑賞者は床面積0.24平方メートルの上をコンベアー式に移動するコトになる(図3)。それは、60cm x 40cmのスペース上を順路に沿って流れるようなイメージだ。



 要するに、ムリ!
今の赤字分を入場料で穴埋めすると、満員電車みたいな状態になってしまう。他の条件を変えず、入場料収入アップで赤字解消するには、直立“気おつけ”姿勢の顧客を連日ギュウギュウにつめ込むコトになるのだ。

 無論、入場料のアップや開館時間の延長などで、収益増を狙うとか、ボランティアの多用や広告のカットで、費用減などの前提条件の改善も検討できる。
しかし、今のやり方で効率よく!には限界がある。

 名古屋ボストン美術館の本質的な問題=解決すべき課題は、現状のビジネスモデルなのだ。したがって、スキームを根本的に変更する必要がある。それについては、次回の投稿で書くことにする。

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【参考文献】

名古屋市(2014)「名古屋市の姉妹都市」
http://www.city.nagoya.jp/shicho/page/0000006761.html

中日新聞(2005年3月24日)「名古屋ボストン美術館『閉鎖は視野にない』」
http://koopop.jugem.cc/?eid=296

日本経済新聞(2012年4月3日)「名古屋ボストン美術館、遠のく客足 危機再び 」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFD22019_S2A400C1CN8000/

公益財団法人 名古屋国際芸術文化交流財団(2015)「平成25年度 決算報告書」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/h25_kessan.pdf

名古屋ボストン美術館(2015)「平成25年度 事業報告書」
http://www.nagoya-boston.or.jp/FAN/pdf/h25_jigyo.pdf

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【鈴木朋幸/Tomo Suzuki】
アート映画の企画、製作、上映が仕事。

水戸芸術館に勤務後、トモ・スズキ・ジャパン有限会社を設立。
取締役 社長として、
米国、欧州、東アジアと連携し、アートや映画の製作・発表を進める。

ニューヨーク大学(NYU)をFine Arts(美術史)専攻で卒業。
Bond-BBT大学院MBA(経営学修士)を歴代最短タイの1.5年で修了。
現在、ハーバード大学院で文化施設の自立運営について研究中。

http://www.tomosuzuki.com/
2015年6月20日

ジャスラックから“お尋ね“ マシュー・バーニー『拘束のドローイング9』

 JASRAC(ジャスラック)とは、一般社団法人 日本音楽著作権協会のこと。日本市場における音楽の著作権を管理する団体だ。

 作詞家や作曲家、レーベルなど、楽曲の著作権を持つ人から委託されるカタチで、著作権を使う人に課金して、集めたおカネを著作権者に分配するのが業務。当然、業務の後ろ盾になる法律もある。

 そのジャスラックの調査は、たいてい煙たがられる。いわば、税務署の調査みたいで、必要性は認めるけど、うっとおしい。映画の場合、制作時の音楽著作権とは別に、上映する際にも音楽ライセンスの使用料が発生するから、場合によっては、上映施設に“お尋ね”が来ることもアリ。商業映画なら、配給会社がまとめるケースもあるけど、一義的には劇場が払うオキテだから(キネマ旬報映画総合研究所, 2012, p.3)、旧作を上映した美術館がジャスラックの調査対象になることも…。

 実は、それが広島市現代美術館でおきた。先々月となる2014年6月、開催中の展覧会に出品した米国の美術家、マシュー・バーニーが、さかのぼること9年前の2005年、愛妻にして歌姫のビョークと協働したフィルム作品『拘束のドローイング9』を1回だけ上映した。その音楽使用料を請求されそうになり、ミュージアムでは学芸も総務も事情を知らないから、こちらで対処。

 まず、今は倒産して存在しない、当時の配給会社が手続きしたか確認。ジャスラックのデータベースには支払実績ナシという。そこから長い説明と交渉。少なからず製作や制作、配給や上映に関与しただけに、著作権を保有するビョークも形式的には承諾したものを、なぜ今さら日本のサントラ発売元であるユニバーサルにライセンス使用料を戻すのか?納得いかず…。結局、行き着いたのは、美術館で展示するビデオ映像とかに、都度で音楽著作権の使用料を払うか、という問題。結果、否。料金ナシで一件落着。

 金額にすれば、500円以下。でも、額の問題ではない!本来、美術作品で、身体パフォーマンスの記録として創った映像。その完成フォーマットが35mmフィルムだから、スクリーン上映するのが望ましく、ならば映画市場の流通経路を利用!という一連の事実が、ジャスラックに伝わってなかった模様。

 理由として思い当たるのが、美術館学芸員たちの言葉づかい。前シリーズの『クレマスター』サイクル5部作も含め、あえて映画という言葉を避け、こちらはマシュー・バーニーの「フィルム作品」と呼んでいた。ところが、金沢21世紀美術館での発表以来、あっさり「映画」になっている。それじゃジャスラックだって課金するでしょ…みたいな感じ。

 そして、心配したのが、間もなく東京都現代美術館で開催のミシェル・ゴンドリー展。他人ごとだが、有名アーティストのPVなど上映しようものなら、著作権の使用で誤解を招くのでは?無事を祈るのみ。


「Drawing Restraint 9 –Trailer(『拘束のドローイング9』予告編)」
出典:TheTrailerArchives

一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC):
http://www.jasrac.or.jp/index.html

キネマ旬報映画総合研究所
「映画における音楽著作権料」上映に関わる音楽の使用料は誰が支払うのか?:
http://www.kinejun.com/Portals/0/kinejunsoken/reportPDF/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BCVol.06.pdf

広島市現代美術館「スリーピング・ビューティー」展:
http://www.hiroshima-moca.jp/main/sleeping.html

金沢21世紀美術館「マシュー・バーニー:拘束のドローイング展」:
http://www.kanazawa21.jp/exhibit/barney/exhibit.html

東京都現代美術館「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」:
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/michelgondry.html

トモ・スズキ・ジャパン有限会社:
http://www.tomosuzuki.com/#!news/c1p9k


Drawing Restraint 9 (2005)
2014年8月13日

都築響一と観る!!フィッシュリ&ヴァイス上映

 CNAC LABを、ご存知だろうか?

 イタリアのブランド、CoSTUME NATIONAL(コスチューム ナショナル)の日本における旗艦店(フラッグシップショップ)が東京・青山にあり、同じ敷地内にあるバーやギャラリーの専用空間もあわせた総称を、CoSTUME NATIONAL Aoyama Complexという。アートや建築、デザインを発信する複合施設で、略して、CNACだ。

 バーの部分はCNAC WALLという名で、フランスの美術家・植物学者、パトリック・ブランによる「垂直庭園」のコミッション・ワークがカウンターの背後で大きな存在感を示すほか、写真家、杉本博司の作品も壁に展示されている。良質なシャンパンのセレクションや激ウマな高級ワインもウリのひとつ!

 そして、CNAC内に建つギャラリーがCNAC LABである。非営利なノン・プロフィット空間で、現代美術家のビデオ作品を中心に発表するコンセプトらしい。100%の自信はないが、今までの付き合いから察するに、この「ART iT」とも関係が深い株式会社TGAが企画・運営し、自社の美術コレクションも展示してると思う。昨夏より、タイの映画監督・美術家、アピチャッポン・ウィーラセタクンの映像インスタレーションをロングラン上映し、現在は「ヴェネチア・ビエンナーレ」日本館への出品が控える田中功起が、昨年、米国で魅せたビデオ・インスタレーションを展示中。

 前セツが長くなったけど、そのギャラリー、CNAC LABにて、今週末に1日限りの特別イベントが開催される。スイスの2名組ユニットとして活躍したペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイスによるビデオ3作品を連続上映した後、編集者・写真家の都築響一がブッ飛び系トークをする、というもの。

 上映するのは、よく知られたドミノ倒し風の映像に加え、ネズミとパンダの着ぐるみを付けた作家2人が美術品売買で一儲けを企んだり、スイス・アルプスを大冒険したりするシリーズ2作品。通常、映画の終映後トークとは、その作品の解説や関係者への質疑応答がメインだけど、あえて今回は、作品の一要素である「笑い」から派生させた都築トークに挑む!単なる作品説明からかけ離れたお笑いつながりのネタまで持ち込み、会場がウケれば、大成功だと思う。

 実は、同じプログラム上映が、既に北海道立近代美術館でも行われている。昨年、他界したダヴィッド・ヴァイスへの追悼イベントだった。映画上映の権利代は先払いなのに対し、公立の文化施設は後払いという、権利処理上における商慣習の違いを弊社が仲介という特殊事情を抱えた企画。札幌ともども、青山も大爆発を願いたい。


『ゆずれない事』(英語字幕)ダイジェスト


『事の次第』(英語字幕)ダイジェスト


『正しい方向』(英語字幕)ダイジェスト

ART iT + CNAC LAB 共催シンポジウム&特別上映会
都築響一と観る、フィッシュリ&ヴァイスの世界

日時:2013年3月30日(土)15:00 - 18:00
場所:CNAC LAB(東京都港区南青山5-4-30)
料金:1,000円(1ドリンク付)*事前予約制
お申し込みはこちら:
http://www.cnac.jp/lab/symposium/detail.php?entry_id=0000000054

上映(全作品DVDで上映):
ゆずれない事』(英題:THE POINT OF LEAST RESISTANCE)
 1981年/16mm/カラー/30分/日本語字付
  作家それぞれがネズミとパンダの着ぐるみで出演した第1作。
  ネズミとパンダがアートでボロ儲けをしようと、
  美術館へ視察に行くと、人が死んでいる!
  殺人事件に巻き込まれたら大変とばかり、逃げ出すが・・・。

事の次第』(英題:The Way Things Go)
 1987年/16 mm/カラー/30分
  実録ドミノ倒し。
  バケツやポリ缶、古タイヤなど、多種多様なガラクタが、
  次々に倒れる様子を追い続ける映像。
  火や水、振動なども使い、30分もの間、
  絶え間なく倒れ続ける緻密な設計が見所。

『正しい方向』(英題:THE RIGHT WAY)
 1982/83年/16 mm/ カラー/55分/日本語字付
  ネズミとパンダの着ぐるみ作品第2弾。
  より深い関係を築いては、拒絶しあうような二人が
  追いかけては、離れる大自然ロードムービー。
  実際にスイス・アルプスを徘徊する姿は、
  パフォーマンスの記録にも取れる。

ゲスト:都築響一(編集者・写真家)
1956年東京生まれ。「POPEYE」「BRUTUS」両誌の編集を経て、
全102巻の現代美術全集「ArT RANDOM」(京都書院)、
大竹伸朗作品集「SO」(UCA)など、
美術、建築、写真、デザイン等の分野で編集・執筆活動を続ける。
93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。
96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の
総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。
97年〜01年『ストリー ト・デザイン・ファイル』(全20巻)。
インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。
04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、
06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、
08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』など著書多数。
現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。

CMAC LABの告知ページ:
http://www.cnac.jp/lab/symposium/detail.php?entry_id=0000000054

「ART iT」フィッシュリ&ヴァイスのインタビュー:
http://www.art-it.asia/u/admin_ed_feature/WcrKE9O71SFeQpfgGLbR

「ART iT」ダヴィッド・ヴァイス死亡記事:
http://www.art-it.asia/u/admin_ed_news/hxNyRHA1qicdYCf74Jbj/?lang=ja

都築響一 roadside diaries:
http://roadsidediaries.blogspot.jp/

トモ・スズキ・ジャパン 公式サイト:
http://www.tomosuzuki.com/

鈴木朋幸 Twitter:
http://twitter.com/tomosuzuki2009

2013年3月28日

ジム・トンプソンの家で・・・アピチャッポン個展中!

 ジム・トンプソンは、1906年に米国・デラウエア州で生まれた。

 裕福な家柄らしく、東部の名門、プリンストン大学に進学。卒業後は、やはりアイビーリーグのペンシルベニア大で建築を学び、N.Yを拠点に、建築家としてキャリアを積んだという。やがてアメリカ陸軍に志願し、第二次世界大戦中はCIAの前身となる諜報機関に配属され、ヨーロッパからアジアへと転戦。1945年に日本が降伏しても復員せず、タイに留まり、オリエンタル・ホテルの経営に関与。そして、高級タイ・シルクを世界中に売り込んだビジネスマンとして、歴史に名を残すことになる。

 その人生のラストは謎に満ちていて、突然の失踪・・・。さまざま憶測を呼び、スゴいものだと、モンゴルに渡って、チンギス・ハーンと改名!などという、平将門ばりの都市伝説レベルな逸話を聞いた覚えもアリ。とはいえ、今も本人こそ不在ながら、ジム・トンプソンの家はバンコクで健在。財団による管理のもと、屋内の見学O.Kで、シルク製品の土産物店やタイ料理のレストランも併設されている。日本でも、東京の赤坂Bizタワー1階や銀座マロニエゲートビル10階に、ジム・トンプソンズ テーブルという高価タイ料理店を展開中だ。

 そんなジム・トンプソンズ・ハウス(バンコク)の敷地内には、アート・センターがあり、只今、タイの映画監督・美術家、アピチャッポン・ウィーラセタクンが個展を開催している。展示するのは、一昨年「カンヌ映画祭」でパルムドール(最高賞)受賞の監督作『ブンミおじさんの森』と同じククりで製作した、いわば一卵性双生児のアート部分「プリミティブ」である。ビデオ7点(うち、ひとつは2チャンネルなので、合計8画面)の映像インスタレーションで、昨年「ヨコハマ トリエンナーレ2011」にも出品。

 復習しとくと、「プリミティブ」は、タイの東北地方にある小さな村、ナブアで撮影された。1960年代には共産主義者のアジトと目された村で、タイ国軍から激しい弾圧を受けた結果、多くの村民が死亡。村から男が消えたという。奇しくも、その地域には、男をさらって死の世界に連れ去る「未亡人の幽霊」が出る、という伝承があった。そんな過去を知ってか、知らずか、今を無邪気に生きるナブアの男子をドキュメンタリー的にとらえ、同時に村の記憶をフィクション風に表現したのが、メインの2面マルチ・ビデオ。

 ほか、ナブア村のティーンと宇宙船らしきオブジェを建造した際のメイキング映像、宇宙船が浮いては墜ちるループ映像、フェイク落雷の爆音が逆に静寂を強調する村のポートレイト、架空の銃撃シーンを演じる映画ごっこ、人気バンドのモダンドッグや現地ティーンエージャーのミュージックビデオで構成。

 近々、バンコクに行くことがあれば、是非、チェックして欲しい。ちなみに、「プリミティブ」は、ビデオ・インスタレーションも大判写真もエディション販売している。購入したい人がいれば、取扱ギャラリーを紹介するので、ご一報を!


「プリミティブ」メキシコ展 予告編


ジム・トンプソン・アート・センター「プリミティブ」展ページ(英語):
http://www.jimthompsonhouse.com/events/Primitive.asp

ジム・トンプソンの家 公式サイト(英語)
http://www.jimthompsonhouse.com/

ジム・トンプソンズ テーブル(タイ料理店)公式サイト:
http://www.jttable.com/

トモ・スズキ・ジャパン 公式サイト:
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鈴木朋幸 Twitter:
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鈴木朋幸 毎日の仕事ブログ(2012年版):
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「ヨコハマ トリエンナーレ2011」での「プリミティブ」展示
2012年1月11日

「恵比寿映像祭」で増刷!DVD『ウィリアム・ケントリッジの謎』

 「恵比寿映像祭」にウィリアム・ケントリッジが出品する。

 「恵比寿映像祭」とは、東京・恵比寿にある東京都写真美術館が館内の至る所で映像を魅せるイベントで、“映画祭”ではなく、“映像祭”というだけに、スクリーンでの上映だけでなく、ギャラリーでの展示もあるのがポイント。ジャンルにとらわれない作品構成で、映像の多面性を共有する場を目指すそうだが、マーケットが併設されて企画や作品の売買で盛り上がる商業ノリとは違うし、誰も全体像を把握できないままスピンオフ・イベントが次々に勃発する他力本願ノリでもなく、あくまでも主催者の視点を発信する感じか?

 毎年一度の開催で、4回目を迎える今年は「映像のフィジカル」をテーマに、2月10日(金)から15日間。そこに、南アフリカの美術家、ウィリアム・ケントリッジが参加という流れだ。

 ウィリアム・ケントリッジは、ドローイングやパフォーマンス、インスタレーションのほか、オペラの演出までこなす才人だが、やはりコマ撮りアニメでしょ!まず、木炭(チャコール)でドローイングを描く。次に、そのドローイングを映画のカメラで定点撮影。ほんの数コマ分だけカメラを回したら、同じドローイングに少し手を加える。そして、また数コマ撮影。またまたドローイングを変化させてはカメラを回す、さらにドローイングして撮影・・・、というプロセスを繰り返し、静止画を重ねたアニメーション・フィルムを制作してきた。

 そんなケントリッジが、ブラジルでの個展を控え、金魚のインスタレーションなんかを準備する姿に密着したドキュメンタリーが、映画『ウィリアム・ケントリッジの謎』。かれこれ12年前の作品だし、熱きブラジル人監督がカットインの風景シーンを白黒に変換して、ケントリッジのアニメ風に演出するなど、やや時代遅れ感は否めないが、ケントリッジ自身のコマ撮りアニメを豊富に引用するなど、未だ資料性は高い気がしている。

 本来、日本では、2008年の京都国立近代美術館を皮切りに、2009年に東京国立近代美術館から広島市現代美術館に巡回した個展「ウィリアム・ケントリッジ――歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……」にあわせてDVDリリースする予定が、諸般の事情で間に合わず・・・。で、ヒッソリと通販とかやってた訳だが、来月「第4回恵比寿映像祭」にケントリッジ作品が展示となれば、ここは一番、DVDを増版してミュージアムショップに持ち込むつもり。

 よく美術館などで資料的に展示されてるビデオが、シロート丸出しの日本語字幕で、一画面に表示する字数が多すぎたり、カギ括弧や句読点を表記してたりするのに対し、DVD『ウィリアム・ケントリッジの謎』の日本語字幕が、いかに洗練されているかも見所です!


『ウィリアム・ケントリッジの謎』米国版予告編(英語)

日本語字幕付DVD『ウィリアム・ケントリッジの謎』
本編=原題:Certas dúvidas de William Kentridge/2000年/ブラジル/51分/カラー
監督:アレックス・ゲバッシィ
制作:ビデオブラジル
配給:トモ・スズキ・ジャパン


「第4回恵比寿映像祭」公式サイト:
http://www.yebizo.com/

京都国立近代美術館「ウィリアム・ケントリッジ――歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……」展ページ:
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2009/376.html

DVD『ウィリアム・ケントリッジの謎』通販サイト:
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DVD=英語(日本語字幕付)/4:3/ステレオ/リージョン2(日本仕様)
定価:2,000円(税込)
発売・販売:トモ・スズキ・ジャパン
2012年1月9日

DVD「杉本博司」準備中!Art:21 現代美術家の肖像シリーズ

 買った株の値が下がり、売るに売れない状態を“塩漬け”と呼ぶ。

 株価が下がってるんだからサッサと売ればい〜じゃん、とか、有価証券評価損(含み損)を帳簿に載せるのはキビシイとか、そもそも、なぜ下降局面の株を買った?、と考える人は、口ではダメと言いつつも、どこか心の中で値上がりを期待する、思い込み的な楽観思考を理解して欲しい。傍目に見ればドロヌマなのに、当人同士は僅かな期待を抱き関係を続けるカップルみたいなもので、ある意味、恋愛にも通じる、人間心理だと思う。

 実は、その塩漬け、アート映画の売買でも見受けられる。ピピロッティ・リストが監督した映画を買ったり、シリン・ネシャットの映画に出資したり、スティーヴ・マックィーンの新作を追い求める配給会社があったとしても、そんな市場ないでしょ、みたいな非難はしない。第一、自分でもアメリカの公共テレビ局、PBSが制作・放送した美術教育の番組「Art:21」シリーズを塩漬けしつつあるので。

 「Art:21」シリーズとは、主に米国を拠点とする現代美術家のスタジオや制作現場を撮影し、本人のコメントを紹介する番組で、2001年のシーズン1より最新のシーズン6まで、総勢97人が出演している。完成品しか公にしたがらない作家もいる中、生のアーティストを拝めるなど、メリットがある反面、これで終わり?、と突っ込みを入れたくなるようなブツ切り編集の短編コンテンツなのが、難だ。

 もともと日本の美術館で教育普及に使えるかと察し、ライセンス化してはみたものの、長らく続くジリ貧不況で、組もうと思った会社が倒産したり、規模縮小だの商売替えの連続。さりとて、展覧会の企画事業費だけでもイッパイいっぱいな美術館が普及事業に予算を割いてくれるとは思えず・・・。そこで、細々と続けてるのが、家内制手工業な格安DVDの発売・販売。

 日本語字幕からミキシング、オーサリング、さらにはジャケット印刷やパッケージング、封入まで、一貫した自社管理のセルDVDで、メニュー画面はないし、チャプター分けもせず、字幕は乗りっぱなし。特典映像なんて、とんでもない!けど、販売価格は2,000円台という代物を、販社を通さず、展覧会にあわせてミュージアムショップに直納している。つまり、最高の画質とはいかないが、観たい時、手が届くYouTube時代のコンテンツだ。

 そんな「Art:21」の格安DVDで、今年は杉本博司(写真家)篇をリリースする見込み。3/31(土)から、東京・原美術館で開催の「杉本博司 ハダカから被服へ」展までに用意する気構え。もちろん出資者や協力者は歓迎です。


Hiroshi Sugimoto
「Art:21」season3 - episode "memory"


米国・PBS「Art:21」公式サイト(英語):
http://www.pbs.org/art21/

原美術館「杉本博司 ハダカから被服へ」プレスリリース:
http://www.haramuseum.or.jp/jp/common/pressrelease/pdf/hara/jp_hara_pr_Sugimoto_111216.pdf

Art:21現代美術家の肖像DVD「マシュー・バーニー」通販サイト:
http://art-doc.info/

DVD「ウィリアム・エグルストン」通販サイト:
http://egglestonfilm.com/

DVD「ウィリアム・ケントリッジの謎」通販サイト:
http://kentridge.org/

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Hiroshi Sugimoto
「Art:21」season3 - episode "memory"
2012年1月6日

爆音上映!『ブンミおじさんの森』アフター

 爆音上映を、ご存じだろうか?

 映画館の5.1ch SRD(ドルビー・デジタルサラウンド)を強化して、音楽ライブ並の大音量で映画を上映するイベントだ。昔、「HF ハイファッション」とかに書いてた樋口泰人(映画評論家)率いるboidが、主に、東京の吉祥寺バウスシアタターで行う上映会で、単に、デカい音を出すだけじゃなくて、作品に最適な大音響セッティングを追求している。

 個人的には、美術家のマシュー・バーニーが監督・制作・出演したフィルム『拘束のドローイング9』を、2009年に爆音上映してもらった経験アリ。同作に出演し、サントラも担当した歌姫、ビョークが“人間の耳には聞こえないけど、感じるレベルの超サブウーハーをミックスしたわ!”と、ドキュメンタリー映画『マシュー・バーニー:拘束ナシ』で証言したように、フツーの映画館では味わえないような振動が脳までダイレクトに伝わるトリップ体験で、激ヤバだった!

 そんな爆音上映に、今月末、登場するのが映画『ブンミおじさんの森』である。タイの映画監督・美術家、アピチャッポン・ウィーラセタクンが監督・脚本・制作し、2010年「カンヌ映画祭」でパルムドール(最高賞)を受賞した作品で、日本では、昨年3月より8週間に渡り、渋谷・シネマライズでロードショーしている。今なお、全国順次公開中なので、アートや映画のファンなら、ご覧になった人も多いと思うが、今一度、おさらいしてみよう。

 ブンミおじさんは、腎臓の病に侵され、余命幾ばくもない。彼は、ラオスとの国境に近い、タイ東北地方の農村にある自宅に戻り、他界した妻の妹や若い男と人生のラスト・モーメントを過ごすことにする。そこに死んだはずの妻が現れ、なぜか行方不明だった息子もサルの姿で登場。愛するものに囲まれたブンミに、いよいよ死期が迫り、彼は森の中に入ってゆく。動物、王女、精霊・・・。それらはブンミの前世なのか、はたまた来世なのか?

 物語は、偶然、アピチャッポンが手にした「前世を思い出せる男」という本から着想を得た。自分の前世や来世を何代も見る能力を持つ男の話で、映画化するにあたり、森やジャングル、記憶や記録、移民や幽霊という、アピチャッポン作品のマストアイテム総決算で、監督なりに再解釈した様子。事実、「前世を思い出せる男」の死因は不明ながら、映画の主人公は、アピチャッポンの父親と同じ、肝臓病で死亡する設定だし、劇中の葬式シーンも実際の父の葬儀に近い感じ。本来、別の映画に起用するはずの役柄が、本作の中に入り込む、という得意技も秘かに披露している。
 
 さて、爆音上映だが、せっかくの好機なので、1/28(土)20:50からの『ブンミおじさんの森』上映後、感想を語る会を催そう!、と考えている。予約不要、出入自由、完全実費制の集い。要は、終映後、終電を気にしながらも、何か言っておきたいなぁ、という老若男女のアフター飲み会で、Facebookに「イベント」を作成したりするから、ご興味のある方は、チェックして欲しい。なお、映画のチケットは各自でご手配くださいませ。


映画『ブンミおじさんの森』予告編


「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ」公式サイト:
http://www.bakuon-bb.net/apichatpong/

爆音上映公式サイト:
http://www.bakuon-bb.net/

映画『ブンミおじさんの森』公式サイト:
http://uncle-boonmee.com/

日本コロムビア DVD『マシュー・バーニー:拘束ナシ』ページ:
http://columbia.jp/prod-info/COBM-5614/

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鈴木朋幸 Twitter:
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「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ」チラシ表


「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ」チラシ裏
2012年1月4日

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