伊東豊子
美術ジャーナリスト・ライター(ロンドン在住)
トラファルガー広場に「ボトルシップ」
トラファルガー広場に、長さ4.7メートルの「ボトルシップ」が登場し、
話題を呼んでいます!
作者は2004年にターナー賞にノミネートされたナイジェリア系英国人の
インカ・ショニバレ(Yinka Shonibare)。ボトルの中の船は、ここに記念碑がある
ネルソン提督がトラファルガーの海戦で勝利をおさめた船だとか。
一般人2400人が参加した去年のアントニー・ゴームリーのプロジェクトに比べると
とても静かですが、この広場の歴史にちなんだ正統派ながらもシュールな展示。
この夏、ロンドンに来られる方、お見逃しなく!
foglessにも即効でフォトギャラリーを載せたのでよろしく!
ニューヨークのスタジオに空きが
こんなメールが来ました。
場所はNYのブルックリンで、マンハッタンまで地下鉄で5分だとか。
6月と7月のみの短期滞在で、750ドル/月。
もしご興味のある方がいれば。
Dear friends of CAVE,
We have a room for rent for touring artists for the months of June and July. Please forward on to interested parties and check out our Craigslist ad for pictures (newyork.craigslist.org/brk/roo/1749061552.html).
--
$750 Room for rent in CAVE Art Space for June & July (Williamsburg, Bedford stop)
Through our housing program, we hope to create the appropriate environment and means for collaborative research between you, fellow resident artists at CAVE, and the multicultural artists of metropolitan New York.
CAVE is a 3000 sq. ft. warehouse loft space, with five live/work studio spaces and a combination performance-dance studio space. At CAVE, we are able to cultivate an environment that promotes progressive social change through the arts by supporting exploration, risk-taking and community building. CAVE is now one of the longest running experimental art spaces in the Williamsburg neighborhood of Brooklyn, New York.
A 10 minute walk from the Bedford Ave stop of the L train (a 5 minutes subway ride to Union Sq, Manhattan), CAVE has a great atmosphere, perfect for meeting other artists and to experience the live-work art studios of New York. Amenities include a furnished bedroom with wardrobe, a desk, a small fridge, use of shared bathroom and wireless internet access. Other artists are living in the spaces as well as two cats (cats don't have access to the room). The room costs $750 per month, plus a one time $80 cleaning fee. One person occupancy only. We are looking for someone to rent the room for the months of July and July.
Please email us with any questions or if you are interested in seeing the room, or visit our website to learn more about CAVE: caveartspace.tumblr.com/
--
Your friends at CAVE
www.cavearts.org
--
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場所はNYのブルックリンで、マンハッタンまで地下鉄で5分だとか。
6月と7月のみの短期滞在で、750ドル/月。
もしご興味のある方がいれば。
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Through our housing program, we hope to create the appropriate environment and means for collaborative research between you, fellow resident artists at CAVE, and the multicultural artists of metropolitan New York.
CAVE is a 3000 sq. ft. warehouse loft space, with five live/work studio spaces and a combination performance-dance studio space. At CAVE, we are able to cultivate an environment that promotes progressive social change through the arts by supporting exploration, risk-taking and community building. CAVE is now one of the longest running experimental art spaces in the Williamsburg neighborhood of Brooklyn, New York.
A 10 minute walk from the Bedford Ave stop of the L train (a 5 minutes subway ride to Union Sq, Manhattan), CAVE has a great atmosphere, perfect for meeting other artists and to experience the live-work art studios of New York. Amenities include a furnished bedroom with wardrobe, a desk, a small fridge, use of shared bathroom and wireless internet access. Other artists are living in the spaces as well as two cats (cats don't have access to the room). The room costs $750 per month, plus a one time $80 cleaning fee. One person occupancy only. We are looking for someone to rent the room for the months of July and July.
Please email us with any questions or if you are interested in seeing the room, or visit our website to learn more about CAVE: caveartspace.tumblr.com/
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ティルマンス
長い間ブログを休むと書きにくくなるものですね。
実はいろいろ書きたいことがあり、あれから写真集もまた増えているんですが、
結局書かずじまいに終わってしまい、ちょっと反省です……。
今日は、ひとつ報告を。
3月16日にロンドンのヴォルフガング・ティルマンスのスタジオで取ったインタビューが、
今月の『美術手帖』に載っているので、ぜひご覧になってください。
前に取材したときには、その日になって突然、
流しの蛇口だかパイプだかが壊れたとかで、急遽、彼の自宅で取材をしたんですが、
今回は念願かなってスタジオでの取材でした。
ティルマンスのスタジオは、
記事の中でも紹介しているプロジェクトスペースの上の階なんですが、
建物の外見からちょっと想像がつかないくらい広くてびっくりしました。
上の階に上がると、グレーの机が川の字になって並んだ「事務所」風の部屋がまずあって、
その奥に、「あれの何倍あったんだろう……」って考えるほどの大きなスタジオがあり、
あそこだけNYと言ってもよい雰囲気でした。
スタジオの手前側の壁には、
サーペンタイン・ギャラリーで夏に見せるという横辺6メートル級の抽象模様のプリントと、
それより若干小ぶりのプリントが二枚、L字を成すように壁にで~んと掛かっていて、
その迫力と美しさに絶句。(←ここら辺も『美術手帖』の写真にぜんぶ出ています)
スタジオの奥半分には、彼がインスタレーションでよく使う木のテーブルが何台も
無造作に並んでいて、その上に、模型に貼り込むために1/10に縮小した写真が
何百と広げられていて(ちょっとカルタみたいな感じに)、
こうやってインスタレーションを練っていくのかとその制作プロセスが垣間見れて
面白かったです。
カメラがいま手元にないので、今回は写真はなしですが、
6年前に緊張のあまりもらい損なったサインを、あのとき持っていたのにすっかり
忘れていたテートのカタログに、今回はしっかりもらってきました。
ミーハーですが、これがこの仕事の楽しみのひとつで(笑)。
追記
○ 美術手帖へのリンク
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
○ 『fogless』も久しぶりにアップデートしました。
http://www.fogless.net/
実はいろいろ書きたいことがあり、あれから写真集もまた増えているんですが、
結局書かずじまいに終わってしまい、ちょっと反省です……。
今日は、ひとつ報告を。
3月16日にロンドンのヴォルフガング・ティルマンスのスタジオで取ったインタビューが、
今月の『美術手帖』に載っているので、ぜひご覧になってください。
前に取材したときには、その日になって突然、
流しの蛇口だかパイプだかが壊れたとかで、急遽、彼の自宅で取材をしたんですが、
今回は念願かなってスタジオでの取材でした。
ティルマンスのスタジオは、
記事の中でも紹介しているプロジェクトスペースの上の階なんですが、
建物の外見からちょっと想像がつかないくらい広くてびっくりしました。
上の階に上がると、グレーの机が川の字になって並んだ「事務所」風の部屋がまずあって、
その奥に、「あれの何倍あったんだろう……」って考えるほどの大きなスタジオがあり、
あそこだけNYと言ってもよい雰囲気でした。
スタジオの手前側の壁には、
サーペンタイン・ギャラリーで夏に見せるという横辺6メートル級の抽象模様のプリントと、
それより若干小ぶりのプリントが二枚、L字を成すように壁にで~んと掛かっていて、
その迫力と美しさに絶句。(←ここら辺も『美術手帖』の写真にぜんぶ出ています)
スタジオの奥半分には、彼がインスタレーションでよく使う木のテーブルが何台も
無造作に並んでいて、その上に、模型に貼り込むために1/10に縮小した写真が
何百と広げられていて(ちょっとカルタみたいな感じに)、
こうやってインスタレーションを練っていくのかとその制作プロセスが垣間見れて
面白かったです。
カメラがいま手元にないので、今回は写真はなしですが、
6年前に緊張のあまりもらい損なったサインを、あのとき持っていたのにすっかり
忘れていたテートのカタログに、今回はしっかりもらってきました。
ミーハーですが、これがこの仕事の楽しみのひとつで(笑)。
追記
○ 美術手帖へのリンク
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
○ 『fogless』も久しぶりにアップデートしました。
http://www.fogless.net/
Roni Horn aka Roni Horn
ついこの間出たばかりなのに、あっという間に売り切れて値段が上がり、手が出なくなってしまう本が増えているように感じるこの頃。そのひとつがロニ・ホーンのこの『Roni Horn aka Roni Horn』。ついこの間までNYで展覧会が開かれていたので、ご存知の方も多いはず。
これはちょうど去年の今頃、ロンドンのテート・モダンで開かれた個展用に出版されたホーンの展覧会カタログで、当時ミュージアムショップに山積みになっていたのを覚えていますが、あの頃40ポンド程度だったのが、今じゃアマゾンUKの中古価格で140ポンド前後。日本のアマゾンでも2万円前後という値段の上がりぶり。
ロニ・ホーンといえば誰もが認めるアーティストブックの第一人者。『To Place』のコンプリートセットや『Still Water』などコレクターズアイテムになっている本もたくさんあるので、当然といえば当然かも知れませんが、それにしても展覧会カタログの値段が短期間でここまで上がるというのも珍しいもの。
ということで、今日はその人気の秘密を私なりに考えてみました。
まず、手っ取りばやく言えるのが、これが絶賛された彼女のロンドン・NY巡回展用に出版された記念すべき展覧会カタログであること。また、これが美術館内の出版部門からではなく、数々のコレクターズアイテムを生んできた出版業界のプラダことSteidl社から刊行された本であること。
次に言えるのが、この本のユニークな構成。二冊あるうちの一冊はキュレーターが執筆したストレートな展覧会カタログですが、もう一冊はホーンのコンセプトが色濃く出た辞書形式のアーティスト・ブックになっていて、キーワードを通じてホーンという人物を解明できる仕組み。しかもその解説の多くがホーン自身が昔インタビューとかで語った言葉なので、彼女のファンには魅力的なはず(ゲスト執筆者もタシタ・ディーンとかマシュー・バーニーとか豪華)。そしてもちろん、作品の写真もたくさん載っています。
でも、これらの要素は大切ではあっても、まだ決定打ではないような……。
私が思うに、この本の一番の魅力は、その名前ゆえに性別不詳の謎のアーティストとして知られ、それが作品の原点にもなっているロニ・ホーンという作家のアイデンティティーが、本の表紙や中身からちらりと、しかも彼女らしい謎を残した形で暴露されているところにあると思うんです。
その決定打が本のカバー。見た瞬間、うかつにも「どこかのオヤジ」と思ってしまったこの表紙の人物はロニ・ホーン自身(よく見るとファンデーションと口紅をつけているのがわかります)。もう一冊の方の少年のような少女の写真も、子供の頃の彼女自身。さらに本をめくると、時にロセッティの長髪の女のように、時にスポーツ刈りの兄ちゃんのように、同一人物とは思えないご本人の写真が時代を追って載っているんですね。しかも彼女定番の対のフォーマットで。
辞書の最初のページになんともタイミングよく「androgyny」という項目がありましたので、ご紹介したいと思います。
The androgyny of my name had a deep influence on me. I understood from when I was young that my gender was nobody’s business.
Androgyny is the possibility of a thing containing multiple identities… Integrating difference is the basis of identity, not the exclusion of it. You are this and this and that…
――RH, letter to Paulo Herkenhoff, 2003
この性別不詳的なトーンが本から滲み出ているのと同時に、作品のコンセプトと本のデザインが一体となっていて作家をそこに感じられることが、この本の最大の魅力かなあと思いました。
それにしても中古で140ポンドは高すぎますが…。
ちなみに私が持っている本は、数ヶ月前にアマゾンUKで29ポンドという破格で購入したもの。売主さんはレスター大学の書店で、開封済みのものでしたがコンディションは新品同様。大学や美術館の書店は良心的でいいですね。
追記:
〇 『fogless』の日誌に、バンクシー初監督の映画「Exit Through the Gift Shop」について書きました。
http://www.fogless.net/
○ 同じく『fogless』に、ロンドンで開催中の写真アワード展「Deutsche Borse Photography Prize 2010」のレビューを書きました。
http://www.fogless.net/
○ 『Vogue Hommes Japan』最新号に、ヘザー&イヴァン・モリソンのインタビュー記事を執筆しました。
http://www.voguehommes.jp/
〇 『PHOTO GRAPHICA』Vol18号、第三特集「PARIS PHOTO 2009」に、アントワン・ダガタ、ヨルマ・プラネン、クリストファー・アンダーソン、ロジャー・バレンのインタビュー記事を執筆しました。
http://www.mdn.co.jp/di/book/341004/
アムステルダム
週末にアムステルダムに行ってきました。アムス訪問は今回で二度目ですが、到着早々駅前のピンク街に迷い込み、ホテルのボーイさんに電話して途中まで迎えに来てもらうハプニングに会いましたが、取材の方は無事に済み、楽しいオマケもいくつか見つけてロンドンに戻ってきました。

上の写真はそのオマケの一つで、スキポール空港で見つけた国立美術館「Rijksmuseum」の空港出張所。いままでいろんな空港を使ってきましたが、チェックインカウンターを通過したあとの搭乗ロビーで美術館に入ったのは今回がはじめて!
「Rijksmuseum」といえば、改築のためにもう何年も超縮小規模で運営をしていることで有名ですが、その穴埋めでしょうか、空港出張所は一階がショップで二階が展示室という買い物と鑑賞を兼ねたミニ美術館。ショップの目玉商品は、金縁で額装されたレンブラントなど巨匠の名作の複製写真の数々(ぱっと見、贋作絵画のように見えて面白い)。展覧会のフォーカスは、ドメスティックライフから風景画まで幅広いジャンルをカバーした17世紀のオランダ絵画黄金期。もちろんゆっくり見ている余裕などありませんでしたが、空港に美術館という組み合わせがユニークでオランダならではのオリジナリティーを感じました。


下の写真二枚は、写真美術館「FOAM」で購入した今回のお土産。両方とも有名な写真集なのでみなさんご存知かもしれませんが、上がマグナム・フォトグラファーのジョナス・ベンディクセンの『Satellites』(2006年、Aperture初版)で、下がヘレン・ファン・ミーネの『Portraits』のドイツ語版(2004年、Schirmer/Mosel版)。いずれも欲しいなと思っているうちに売り切れてしまい後で後悔した本でしたが(ファン・ミーネは英語版のことですが)、シュリンクラップに入ったままの新品を定価というか30ユーロ程度のミュージアム価格で買えたことに感動。
とくにベンディクセンの方は、古書市場での値段が跳ね上がってしまったため、今じゃなかなか手に入らないレア物。それが写真美術館の在庫キャビネの中におとなしく眠っていようとは意外や意外。ファン・ミーネの方は、欲を言えば英語版が欲しかったのですが、あれも値段が上がってしまい、手垢で見る影もなくなった中古でも40ポンドは下らない人気の一冊(先週ロンドンで見たばかり)。ドイツ語版は表紙に使われている写真がいまいち私好みじゃないのですが、せっかくオランダに来たことだしこれも何かのご縁と思って買ってしまいました。


ファン・ミーネのドイツ語版のカバーは、クリーム色の布張りの上に、緑のバスケットに頭を突っ込んだ少女の写真。より有名な英語版の方は薄いオレンジ色の布張りに、洗面器に仰向けになって髪を浸している女の子の写真。
追記:
〇 『PHOTO GRAPHICA』Vol18号、第三特集「PARIS PHOTO 2009」に、アントワン・ダガタ、ヨルマ・プラネン、クリストファー・アンダーソン、ロジャー・バレンのインタビュー記事を執筆しました。
http://www.mdn.co.jp/di/book/341004/
〇 『美術手帖』3月号のWorld News欄にパリフォト2009の記事を執筆しました。
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
〇 『fogless』の日誌を更新しました。サーチ・ギャラリーの「The Empire Strikes Back: Indian Art Now」展と、ホワイトチャペルの「Where Three Dreams Cross: 150 Years of Photography from India, Pakistan & Bangladesh」展を掲載。
http://www.fogless.net/
上の写真はそのオマケの一つで、スキポール空港で見つけた国立美術館「Rijksmuseum」の空港出張所。いままでいろんな空港を使ってきましたが、チェックインカウンターを通過したあとの搭乗ロビーで美術館に入ったのは今回がはじめて!
「Rijksmuseum」といえば、改築のためにもう何年も超縮小規模で運営をしていることで有名ですが、その穴埋めでしょうか、空港出張所は一階がショップで二階が展示室という買い物と鑑賞を兼ねたミニ美術館。ショップの目玉商品は、金縁で額装されたレンブラントなど巨匠の名作の複製写真の数々(ぱっと見、贋作絵画のように見えて面白い)。展覧会のフォーカスは、ドメスティックライフから風景画まで幅広いジャンルをカバーした17世紀のオランダ絵画黄金期。もちろんゆっくり見ている余裕などありませんでしたが、空港に美術館という組み合わせがユニークでオランダならではのオリジナリティーを感じました。
下の写真二枚は、写真美術館「FOAM」で購入した今回のお土産。両方とも有名な写真集なのでみなさんご存知かもしれませんが、上がマグナム・フォトグラファーのジョナス・ベンディクセンの『Satellites』(2006年、Aperture初版)で、下がヘレン・ファン・ミーネの『Portraits』のドイツ語版(2004年、Schirmer/Mosel版)。いずれも欲しいなと思っているうちに売り切れてしまい後で後悔した本でしたが(ファン・ミーネは英語版のことですが)、シュリンクラップに入ったままの新品を定価というか30ユーロ程度のミュージアム価格で買えたことに感動。
とくにベンディクセンの方は、古書市場での値段が跳ね上がってしまったため、今じゃなかなか手に入らないレア物。それが写真美術館の在庫キャビネの中におとなしく眠っていようとは意外や意外。ファン・ミーネの方は、欲を言えば英語版が欲しかったのですが、あれも値段が上がってしまい、手垢で見る影もなくなった中古でも40ポンドは下らない人気の一冊(先週ロンドンで見たばかり)。ドイツ語版は表紙に使われている写真がいまいち私好みじゃないのですが、せっかくオランダに来たことだしこれも何かのご縁と思って買ってしまいました。
ファン・ミーネのドイツ語版のカバーは、クリーム色の布張りの上に、緑のバスケットに頭を突っ込んだ少女の写真。より有名な英語版の方は薄いオレンジ色の布張りに、洗面器に仰向けになって髪を浸している女の子の写真。
追記:
〇 『PHOTO GRAPHICA』Vol18号、第三特集「PARIS PHOTO 2009」に、アントワン・ダガタ、ヨルマ・プラネン、クリストファー・アンダーソン、ロジャー・バレンのインタビュー記事を執筆しました。
http://www.mdn.co.jp/di/book/341004/
〇 『美術手帖』3月号のWorld News欄にパリフォト2009の記事を執筆しました。
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
〇 『fogless』の日誌を更新しました。サーチ・ギャラリーの「The Empire Strikes Back: Indian Art Now」展と、ホワイトチャペルの「Where Three Dreams Cross: 150 Years of Photography from India, Pakistan & Bangladesh」展を掲載。
http://www.fogless.net/
TONK 「The Great Unreal」
待ちに待ったTONKの写真集「The Great Unreal」がスイスの出版社から到着!

この本は私のような写真集中毒者に人気のサイト「photo-eye」で、5名の目利きが「2009年のベスト10」に選んだ、いま話題の写真集。これのどこがそんなにスゴいのか興味津々で取り寄せてみたが、「The Great Unreal」というタイトルの通り「アンリアル」の決定版。
収録されている写真は、アメリカを旅しながら行く先々で撮ったクラシックなタイプの写真になるが、それはあくまでもうわべのことで、多くの作品があの手この手でこっそりと加工済み。
その塩梅が絶妙で、「いったい、どうやって撮ったの?」と聞きたくなるものばかりだが、この手のアーティストブックにありがちなとおり、解説はゼロ。出版社の情報が載った最後のクレジットのページ(奥付)に「デジタル操作を使用しないでネガティブフィルム素材で撮った」と一文あるのみ。
視力がよいとは決して言えない私のこの目でとくと見たところ、写真をコラージュして再撮影したり、模型やスカルプチャーをつくって撮ったり、家具を移動したり、部屋を改造したりと、なんだか色々とやっているようだが、悲しいことに正確なところはまったくわからず……。でも、そこがこの本を何度も開きたくなる所以。
ちなみに、TONKとはスイスの二人組みアーティストユニットTaiyo Onorato & Nico Krebsのニックネームで、「トンク」と読むよう。スイスのアーティスト二人組みといえばフィッシリ&ヴァイスが有名だが、今回この『The Great Unreal』を発行したEdition Patrick Frey社は後者の名作『Airports』を1990年に世に送り出した出版社でもある。偶然の一致にしては、ウィットに富んだコンセプチュアルなアプローチが似ていてなんだか面白い。

グランド・キャニオンを撮ったとおぼしきこの写真。でもよく見ると、手前の崖っぷちにフライドポテトが生えていてなんだか妙。あんなところに寝そべってポテトを植えたとは思えないので、これは崖の模型をつくって撮った写真とグランド・キャニオンの写真を合成した写真なのでしょうか。難問です。

右と左でインテリアがそっくりな写真。右はホテルの室内を撮ったストレートな写真のようだが、左は室内の調度品を草ぼうぼうの屋外に置いて夜間に撮ったという設定のよう。でもそんな馬鹿な。ドアまで持って来れるはずがないですよね。

これは最後の方に載っている土砂崩れとおぼしきシーンを撮った写真ですが、本物でしょうか偽物でしょうか?本の趣旨からいって偽物と見るべきでしょうが、モノクロの写真は本物ぽくって判断に困ります。
余談ですが、この写真集の最後のページ(奥付)に、運搬の際に生じた傷にしてはなんだか立派で、見ようによっては鉛筆で書いたドローイングに見えなくもないマークがあり、単なる傷と見るべきか、TONK流のサインと見るべきか判断に困っています。消しゴムで消してみれば済むことですが、なんとなくそのままにしておきたくて……。

データ:
The Great Unreal
Taiyo Onorato and Nico Krebs
Editions Patrick Frey, 2009
http://www.editionpatrickfrey.ch/
リンク:
http://www.tonk.ch/
上のTONKのサイトで掲載写真の一部が見れます(ハイウェイの写真をクリック)。
追記:
〇 『fogless』の日誌を更新しました。サーチ・ギャラリーの「The Empire Strikes Back: Indian Art Now」展と、ホワイトチャペルの「Where Three Dreams Cross: 150 Years of Photography from India, Pakistan & Bangladesh」展を掲載。
http://www.fogless.net/
〇 『美術手帖』2月号の特集「現代アーティスト・ファイル 1980 >>> 2010」に執筆+編集協力。同号掲載の「ロレックス メントー&プロトジェ アート・プログラム」では新進気鋭の若手、半田真規さんに取材をしました。
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
この本は私のような写真集中毒者に人気のサイト「photo-eye」で、5名の目利きが「2009年のベスト10」に選んだ、いま話題の写真集。これのどこがそんなにスゴいのか興味津々で取り寄せてみたが、「The Great Unreal」というタイトルの通り「アンリアル」の決定版。
収録されている写真は、アメリカを旅しながら行く先々で撮ったクラシックなタイプの写真になるが、それはあくまでもうわべのことで、多くの作品があの手この手でこっそりと加工済み。
その塩梅が絶妙で、「いったい、どうやって撮ったの?」と聞きたくなるものばかりだが、この手のアーティストブックにありがちなとおり、解説はゼロ。出版社の情報が載った最後のクレジットのページ(奥付)に「デジタル操作を使用しないでネガティブフィルム素材で撮った」と一文あるのみ。
視力がよいとは決して言えない私のこの目でとくと見たところ、写真をコラージュして再撮影したり、模型やスカルプチャーをつくって撮ったり、家具を移動したり、部屋を改造したりと、なんだか色々とやっているようだが、悲しいことに正確なところはまったくわからず……。でも、そこがこの本を何度も開きたくなる所以。
ちなみに、TONKとはスイスの二人組みアーティストユニットTaiyo Onorato & Nico Krebsのニックネームで、「トンク」と読むよう。スイスのアーティスト二人組みといえばフィッシリ&ヴァイスが有名だが、今回この『The Great Unreal』を発行したEdition Patrick Frey社は後者の名作『Airports』を1990年に世に送り出した出版社でもある。偶然の一致にしては、ウィットに富んだコンセプチュアルなアプローチが似ていてなんだか面白い。
グランド・キャニオンを撮ったとおぼしきこの写真。でもよく見ると、手前の崖っぷちにフライドポテトが生えていてなんだか妙。あんなところに寝そべってポテトを植えたとは思えないので、これは崖の模型をつくって撮った写真とグランド・キャニオンの写真を合成した写真なのでしょうか。難問です。
右と左でインテリアがそっくりな写真。右はホテルの室内を撮ったストレートな写真のようだが、左は室内の調度品を草ぼうぼうの屋外に置いて夜間に撮ったという設定のよう。でもそんな馬鹿な。ドアまで持って来れるはずがないですよね。
これは最後の方に載っている土砂崩れとおぼしきシーンを撮った写真ですが、本物でしょうか偽物でしょうか?本の趣旨からいって偽物と見るべきでしょうが、モノクロの写真は本物ぽくって判断に困ります。
余談ですが、この写真集の最後のページ(奥付)に、運搬の際に生じた傷にしてはなんだか立派で、見ようによっては鉛筆で書いたドローイングに見えなくもないマークがあり、単なる傷と見るべきか、TONK流のサインと見るべきか判断に困っています。消しゴムで消してみれば済むことですが、なんとなくそのままにしておきたくて……。
データ:
The Great Unreal
Taiyo Onorato and Nico Krebs
Editions Patrick Frey, 2009
http://www.editionpatrickfrey.ch/
リンク:
http://www.tonk.ch/
上のTONKのサイトで掲載写真の一部が見れます(ハイウェイの写真をクリック)。
追記:
〇 『fogless』の日誌を更新しました。サーチ・ギャラリーの「The Empire Strikes Back: Indian Art Now」展と、ホワイトチャペルの「Where Three Dreams Cross: 150 Years of Photography from India, Pakistan & Bangladesh」展を掲載。
http://www.fogless.net/
〇 『美術手帖』2月号の特集「現代アーティスト・ファイル 1980 >>> 2010」に執筆+編集協力。同号掲載の「ロレックス メントー&プロトジェ アート・プログラム」では新進気鋭の若手、半田真規さんに取材をしました。
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
トーマス・ルフ 「Surfaces, Depths」
写真集中毒がすすむこの頃。このブログをご無沙汰している間にも、買ったり出版社から届いた本の山でフラットの床面積が更に減りましたが、今日はその中から私のなかで最近ヒットの一冊、トーマス・ルフの『Surfaces, Depths』(ドイツ語のタイトルは『Oberflächen und Tiefen』)をご紹介します。
これは去年のクンストハレ・ウィーンでのルフの個展に際して刊行された展覧会カタログで、ARTiTのインタビューでも紹介されている新作の《Cassini》と《Zycles》を筆頭に、初期のインテリアの写真やポートレートなどプロジェクト10本分をまとめて収録したもの。この充実した内容だけでもルフのファンにはたまらない一冊ですが、でもその最大の魅力といえば、ルフらしくてらしからぬユニークなデザイン。

版元から出荷されたままの状態は、上の写真のとおり展覧会のリーフレットとおぼしき白い紙が本にかぶさった状態。梱包用のシュリンクラップを開封してリーフレットを取り除いてみると、その下は欧米の物理や化学のテキストブックを連想させる紺の無地に白文字のシンプルな表紙。エンボス加工をした頑丈な布でボード紙を覆ったがっしりとしたつくりが印象的。でも、ここまではまだ別に大したことありませんが、驚くのがその中身で、なんと全ページが新聞紙という意外な選択!

美術館のディレクターが寄せた序文によると、これは地元の新聞社で実際に輪転機を使ってプリントされたものだそうで、その証拠とばかりに紙のエッジに輪転機にかけた際にできた「穴」が一列に開いている状態。ページをめくろうとすると、前後のページがこの穴のところでまだくっついていて、おそるおそる剥がしながら見ていくという感じ。

このベッヒャー系にあるまじきチープ感と、『Jpegs』の作者らしからぬアナログ感が、あまりにも意外で最高。また、学術系のデザインも、科学的なアプローチをとるルフにぴったりだし、よく考えてみれば新聞紙の使用も、お互い客観的な物と者同士お似合い。それに、実のところチープに見えるのは表面だけで、変色しにくい中性紙がさりげなく使われていたり、印刷の質もよかったりと出来がとてもよくて、タイトルの表面と中身の対比が本のデザインにも見事に現れています。
巷では『Jpegs』の人気が依然として高く、豪華なスリップケース入りのリミテッド・エディションが出ていたりしますが、その突出したデザインでこの『Surfaces, Depths』はルフの異色な一冊としてコレクターズ・アイテムになるような気がします。ネットで調べてみたら、アーティストブックで有名なジョン・ゴサ-ジュが2009年のベストブックの一冊に選んでいました。これは嬉しい発見!


データ:
Thomas Ruff: Oberflachen, Tiefen/Surfaces, Depths
Verlag für moderne Kunst Nürnberg, 2009
http://www.vfmk.de/ (ドイツ語のみ)
http://www.artbook.com/9783941185500.html (英語)
ロンドンのKoenig Books(80 Charing Cross Road)にて購入
追記:
〇 『fogless』の日誌を更新しました。サウス・ロンドン・ギャラリーのマイケル・ランディ展と、テート・モダンのクリス・オフィリ展を掲載。
http://www.fogless.net/
〇 『美術手帖』2月号の特集「現代アーティスト・ファイル 1980 >>> 2010」に執筆+編集協力。同号掲載の「ロレックス メントー&プロトジェ アート・プログラム」では新進気鋭の若手、半田真規さんに取材をしました。
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
これは去年のクンストハレ・ウィーンでのルフの個展に際して刊行された展覧会カタログで、ARTiTのインタビューでも紹介されている新作の《Cassini》と《Zycles》を筆頭に、初期のインテリアの写真やポートレートなどプロジェクト10本分をまとめて収録したもの。この充実した内容だけでもルフのファンにはたまらない一冊ですが、でもその最大の魅力といえば、ルフらしくてらしからぬユニークなデザイン。
版元から出荷されたままの状態は、上の写真のとおり展覧会のリーフレットとおぼしき白い紙が本にかぶさった状態。梱包用のシュリンクラップを開封してリーフレットを取り除いてみると、その下は欧米の物理や化学のテキストブックを連想させる紺の無地に白文字のシンプルな表紙。エンボス加工をした頑丈な布でボード紙を覆ったがっしりとしたつくりが印象的。でも、ここまではまだ別に大したことありませんが、驚くのがその中身で、なんと全ページが新聞紙という意外な選択!
美術館のディレクターが寄せた序文によると、これは地元の新聞社で実際に輪転機を使ってプリントされたものだそうで、その証拠とばかりに紙のエッジに輪転機にかけた際にできた「穴」が一列に開いている状態。ページをめくろうとすると、前後のページがこの穴のところでまだくっついていて、おそるおそる剥がしながら見ていくという感じ。
このベッヒャー系にあるまじきチープ感と、『Jpegs』の作者らしからぬアナログ感が、あまりにも意外で最高。また、学術系のデザインも、科学的なアプローチをとるルフにぴったりだし、よく考えてみれば新聞紙の使用も、お互い客観的な物と者同士お似合い。それに、実のところチープに見えるのは表面だけで、変色しにくい中性紙がさりげなく使われていたり、印刷の質もよかったりと出来がとてもよくて、タイトルの表面と中身の対比が本のデザインにも見事に現れています。
巷では『Jpegs』の人気が依然として高く、豪華なスリップケース入りのリミテッド・エディションが出ていたりしますが、その突出したデザインでこの『Surfaces, Depths』はルフの異色な一冊としてコレクターズ・アイテムになるような気がします。ネットで調べてみたら、アーティストブックで有名なジョン・ゴサ-ジュが2009年のベストブックの一冊に選んでいました。これは嬉しい発見!
データ:
Thomas Ruff: Oberflachen, Tiefen/Surfaces, Depths
Verlag für moderne Kunst Nürnberg, 2009
http://www.vfmk.de/ (ドイツ語のみ)
http://www.artbook.com/9783941185500.html (英語)
ロンドンのKoenig Books(80 Charing Cross Road)にて購入
追記:
〇 『fogless』の日誌を更新しました。サウス・ロンドン・ギャラリーのマイケル・ランディ展と、テート・モダンのクリス・オフィリ展を掲載。
http://www.fogless.net/
〇 『美術手帖』2月号の特集「現代アーティスト・ファイル 1980 >>> 2010」に執筆+編集協力。同号掲載の「ロレックス メントー&プロトジェ アート・プログラム」では新進気鋭の若手、半田真規さんに取材をしました。
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
パリフォトに行ってきました
世界最大の写真フェア「パリフォト」に行ってきました。今回の一番の目的は取材。写真雑誌『PhotoGRAPHICA』の編集長の沖本尚志さんと現地で合流して、連日いろんな写真家にインタビューをしてきましたが、珍しい写真集が世界各地から集まるパリフォトは、私の「買い心」をくすぐる数少ないフェアでもあります。ちょっと早い(自分への?)クリスマスプレゼントと思って買い込んできましたが、今回の収穫物をご披露する前に、まずはパリフォトについて軽くご説明を。

基本的には、9月に六本木で開かれた「東京フォト」と同じで、世界各地から集まった画廊と出版社がブースを構えて、プリントと写真集を売る商業フェアになりますが、規模はあれの5~6倍か、それ以上。毎年この時期に、ルーブル美術館隣接の建物内で4日間に渡って開催され、ひとつの国あるいは地域が招待国として大きく取り上げられます。去年は日本がその対象でしたが、今年はアラブ諸国が主役。これがイベント全体のよい盛り上げ役になっていましたが、でもパリフォトの真の底力といえば、「犬も歩けば写真家に当たる」というような作家のプレゼンス。写真界のカンヌとばかりに錚々たるメンバーが集まり、ブックサイン会を開いていました。
私が会った人だけでも、ルネ・ブリ、エリオット・アーウィット、ミッチ・エプスタイン、マーティン・パー、サイモン・ノーフォーク、ジルベール・ガルサン、アントワン・ダガタ、リーズ・サルファーティ、ロジャー・バレン、ヨルマ・プラネン……とかなり豪華ですが、これはほんの氷山の一角。残念ながら私は見逃してしまいましたが、ここ数年写真で注目されているルー・リードが会場に現れたり、大御所のウィリアム・クラインやアンデルス・ペーターセンが来るといった耳寄りの情報が次々と流れ、会場は写真界のスターを待つファンで芋洗い状態。
一方、去年大量に押し寄せた日本勢の方は今年は激減でしたが、それでも後藤繁雄氏率いるG/Pを筆頭に、TARO NASU、MEMなどの画廊が出展し、「写真の日本」を誇示。出版社では、bookshop Mが会場に入ってすぐのところにブースを構え、美しい写真集とともにひときわ目立っていました(なんとルー・リードがお買い上げになったとか)。

新作写真集『American Power』などにサインをするミッチ・エプスタイン

こちらは「ミスター・G」ことジルベール・ガルサンのサイン会で、ファンの女性が「私の名前はこう書くのよ」とつづりを見せているところ
今回の収穫物

さて、私も会場の雰囲気に押されて、取材の合間にサイン本の入手に奔走。重量チェックのないユーロスターで帰れるのをよいことに、スーツケースに入るだけ、10冊ほど入手してきました。その一部を紹介しますと、ジルベール・ガルサンの『Mister G.』(Filigranes Editions, 2009)、マーティン・パーの『Luxury』(Chris Boot, 2009)、ルネ・ブリの『Nous Sommes Treize a Table』(Dino Simonett, 2008)、小山泰介さんの『entropix: taisuke koyama』(アートビートパブリッシャーズ, 2008)、井上廣子さんの『Inside-Out』(FOIL, 2009)など。

なかでも忘れられぬお宝になったのが、『PhotoGRAPHICA』の最新号でも紹介したルネ・ブリの『Nous Sommes Treize a Table』。こちらはこのマグナムの長老の75歳の誕生日を記念して1500冊限定で発行されたもので、写真のセレクションもよければデザインも抜群。実はだいぶ前に買って家にあったのですが、会場を出る30分前にSchaden.comのブースでブリがサイン会をしているのを目撃し、少し迷った挙句、「写真集との出会いは一期一会」というマーティン・パーの言葉を思い出して買ってしまいました。このブリ氏、さすがピカソやジャコメッティーのお友達だけあって、ペンでサインをした後に水彩で色をつけるこだわりぶりでしたが、お耳が遠いのか、私の名前を「YOYOKO」とスペルミス!私の額に一瞬青筋でも立ったのでしょうか、機嫌をとるように「ぼくの名前はこう書くんだよ」と言って「ルネ・ブリ」と昔覚えたカタカナでサインをしてくれました(笑)。
追記:
〇 『fogless』に、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)ではじまった現代美術展「The Hoerengracht」のフォトギャラリーを掲載しました。
http://www.fogless.net/
〇 『PhotoGRAPHICA』の最新号に、海外のおすすめ写真集9冊をピックアップしました。マーティン・パーのインタビュー記事も載っています。
http://www.mdn.co.jp/content/view/8299/
リンク:
Paris Photo 2009のサイトへはこちらから
http://www.parisphoto.fr/
基本的には、9月に六本木で開かれた「東京フォト」と同じで、世界各地から集まった画廊と出版社がブースを構えて、プリントと写真集を売る商業フェアになりますが、規模はあれの5~6倍か、それ以上。毎年この時期に、ルーブル美術館隣接の建物内で4日間に渡って開催され、ひとつの国あるいは地域が招待国として大きく取り上げられます。去年は日本がその対象でしたが、今年はアラブ諸国が主役。これがイベント全体のよい盛り上げ役になっていましたが、でもパリフォトの真の底力といえば、「犬も歩けば写真家に当たる」というような作家のプレゼンス。写真界のカンヌとばかりに錚々たるメンバーが集まり、ブックサイン会を開いていました。
私が会った人だけでも、ルネ・ブリ、エリオット・アーウィット、ミッチ・エプスタイン、マーティン・パー、サイモン・ノーフォーク、ジルベール・ガルサン、アントワン・ダガタ、リーズ・サルファーティ、ロジャー・バレン、ヨルマ・プラネン……とかなり豪華ですが、これはほんの氷山の一角。残念ながら私は見逃してしまいましたが、ここ数年写真で注目されているルー・リードが会場に現れたり、大御所のウィリアム・クラインやアンデルス・ペーターセンが来るといった耳寄りの情報が次々と流れ、会場は写真界のスターを待つファンで芋洗い状態。
一方、去年大量に押し寄せた日本勢の方は今年は激減でしたが、それでも後藤繁雄氏率いるG/Pを筆頭に、TARO NASU、MEMなどの画廊が出展し、「写真の日本」を誇示。出版社では、bookshop Mが会場に入ってすぐのところにブースを構え、美しい写真集とともにひときわ目立っていました(なんとルー・リードがお買い上げになったとか)。
新作写真集『American Power』などにサインをするミッチ・エプスタイン
こちらは「ミスター・G」ことジルベール・ガルサンのサイン会で、ファンの女性が「私の名前はこう書くのよ」とつづりを見せているところ
今回の収穫物
さて、私も会場の雰囲気に押されて、取材の合間にサイン本の入手に奔走。重量チェックのないユーロスターで帰れるのをよいことに、スーツケースに入るだけ、10冊ほど入手してきました。その一部を紹介しますと、ジルベール・ガルサンの『Mister G.』(Filigranes Editions, 2009)、マーティン・パーの『Luxury』(Chris Boot, 2009)、ルネ・ブリの『Nous Sommes Treize a Table』(Dino Simonett, 2008)、小山泰介さんの『entropix: taisuke koyama』(アートビートパブリッシャーズ, 2008)、井上廣子さんの『Inside-Out』(FOIL, 2009)など。
なかでも忘れられぬお宝になったのが、『PhotoGRAPHICA』の最新号でも紹介したルネ・ブリの『Nous Sommes Treize a Table』。こちらはこのマグナムの長老の75歳の誕生日を記念して1500冊限定で発行されたもので、写真のセレクションもよければデザインも抜群。実はだいぶ前に買って家にあったのですが、会場を出る30分前にSchaden.comのブースでブリがサイン会をしているのを目撃し、少し迷った挙句、「写真集との出会いは一期一会」というマーティン・パーの言葉を思い出して買ってしまいました。このブリ氏、さすがピカソやジャコメッティーのお友達だけあって、ペンでサインをした後に水彩で色をつけるこだわりぶりでしたが、お耳が遠いのか、私の名前を「YOYOKO」とスペルミス!私の額に一瞬青筋でも立ったのでしょうか、機嫌をとるように「ぼくの名前はこう書くんだよ」と言って「ルネ・ブリ」と昔覚えたカタカナでサインをしてくれました(笑)。
追記:
〇 『fogless』に、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)ではじまった現代美術展「The Hoerengracht」のフォトギャラリーを掲載しました。
http://www.fogless.net/
〇 『PhotoGRAPHICA』の最新号に、海外のおすすめ写真集9冊をピックアップしました。マーティン・パーのインタビュー記事も載っています。
http://www.mdn.co.jp/content/view/8299/
リンク:
Paris Photo 2009のサイトへはこちらから
http://www.parisphoto.fr/
ニューキャッスル訪問
はじめまして。ロンドンからアートについてあれこれ書いてる美術ライターの伊東豊子と申します。普段は自主運営の『fogless』や雑誌に寄稿していますが、これから『ART iT』でも書かせてもらうことになりましたので、よろしくお願いしま~す。
さて、まずは超シブ~く、かつて炭鉱の街として栄えたニューキャッスルに行ってきましたので、そのご報告を。目的地は「北のテート・モダン」ことBALTIC Centre for Contemporary Art。10月のオープニングに呼ばれながらも熱を出していけなかったマーティン・パーの「Parrworld」展と、こちらは棚から牡丹餅でしたがデミアン・ハーストの「Pharmacy」展を観てきました。

写真家のみならずコレクターとしても有名なマーティンの展示は、自分の新作シリーズ「Luxury」と、希少写真集やプリントやグッズなど彼の秘蔵コレクションからレアなものを集めた二部構成の展示。デミアンの方は、テート・リバプールが収蔵するハーストの薬品キャビネットのインスタレーション。別物ですが、彼の有名なレストランにあったのと同じタイプの作品になります。
ニューキャッスル(英国人はニューカースルと発音します)は、ロンドンから電車で片道3時間、電車賃にして片道46ポンド(私が買った日の値段)のイングランド北部にある工業都市。スコットランドのすぐ真下まで北上する旅は、窓の外の灰色の風景も相まってホリデー気分からは程遠いものでしたが、展示の見ごたえは十分。特にパーのコレクション展が見事。また、雨に濡れた中世の町もゴシックな魅力に溢れ、ミレニアムブリッジが臨むウォーターフロントも絶景。収穫物も2,3見つけ、なかなかの日帰り紀行でした。
本日の収穫物:
■ Martin Parr サイン付き新作写真集『Playas』(17ポンドx2冊購入)

今回の展示作品とは別物になりますが、6月にChris Boot社から刊行された写真集『Playas』を購入。「できるだけチープにつくること」をモットーにしたこの写真集は、マーティンが2006年から2008年の間に中南米で撮ったビーチの写真をまとめたもので、つくりの悪さが売り。4色分解もままならないメキシコ市内の格安の印刷屋で刷られたもので、2000部限定で静かにリリース。水色の表紙が純正ですが、なんとそのピンク版を発見!しかもサイン付き。店員はなぜこれだけピンクなのかわからないようでしたが、マーティンの遊び心をキャッチして即座に購入。もちろん、一緒に正規版も入手。こちらもサイン付でしたが嬉しいことに定価でした。ちなみに表紙に書かれている7ドルはウソです。
■ Martin Parr サイン付きチョコレート(3.95ポンドX1個購入)

これはビンボーなコレクターには嬉しい一品。たかが7センチあまりの板チョコですが、ここに来なきゃ買えない代物で、超レア。しかもサイン付。値段もサイン付が3.95ポンド、サイン無しが1.95ポンドとカタログを買うよりずっと安いのも魅力(ボルティックの在庫の残りはあと30点程度)。ニューキャッスルくんだりまでわざわざ行ってよかったと思うように、地方の美術館はもっとこういう工夫をするとよいなと思いました。おかげで帰りの道中はいい気分でした。
■ スポットペインティングもどきティッシュペーパー(95ペンスx1個購入)

これは残念ながらハースト公認のティッシュではなくて、書店の店員が展覧会にぴったりだと思ってどこかから調達したもの。確かにデミアンに訴えらえないかと思うくらいスポット・ペインティングにそっくりなデザイン。他に特におもしろい物が見当たらなかったので、話の種にゲット。
追記:
〇 マーティンに取材した記事が11月20日発売の『PhotoGRAPHICA』に載ります。
http://www.mdn.co.jp/content/view/8299/
〇 マーティンとデミアンの展示の詳細についてはいずれ『fogless』に掲載したいと思ってます。
http://www.fogless.net
リンク:
Balticのサイトへはこちらから
http://www.balticmill.com/
最後に…
いま他の方々のページを見てみたら、自動翻訳のことで盛り上がっているようですね。新参者で事情がよくわからない+ブログに慣れていないので、まずは日本語に集中して書いていきたいと思います。英語読者の方スミマセン。
さて、まずは超シブ~く、かつて炭鉱の街として栄えたニューキャッスルに行ってきましたので、そのご報告を。目的地は「北のテート・モダン」ことBALTIC Centre for Contemporary Art。10月のオープニングに呼ばれながらも熱を出していけなかったマーティン・パーの「Parrworld」展と、こちらは棚から牡丹餅でしたがデミアン・ハーストの「Pharmacy」展を観てきました。
写真家のみならずコレクターとしても有名なマーティンの展示は、自分の新作シリーズ「Luxury」と、希少写真集やプリントやグッズなど彼の秘蔵コレクションからレアなものを集めた二部構成の展示。デミアンの方は、テート・リバプールが収蔵するハーストの薬品キャビネットのインスタレーション。別物ですが、彼の有名なレストランにあったのと同じタイプの作品になります。
ニューキャッスル(英国人はニューカースルと発音します)は、ロンドンから電車で片道3時間、電車賃にして片道46ポンド(私が買った日の値段)のイングランド北部にある工業都市。スコットランドのすぐ真下まで北上する旅は、窓の外の灰色の風景も相まってホリデー気分からは程遠いものでしたが、展示の見ごたえは十分。特にパーのコレクション展が見事。また、雨に濡れた中世の町もゴシックな魅力に溢れ、ミレニアムブリッジが臨むウォーターフロントも絶景。収穫物も2,3見つけ、なかなかの日帰り紀行でした。
本日の収穫物:
■ Martin Parr サイン付き新作写真集『Playas』(17ポンドx2冊購入)
今回の展示作品とは別物になりますが、6月にChris Boot社から刊行された写真集『Playas』を購入。「できるだけチープにつくること」をモットーにしたこの写真集は、マーティンが2006年から2008年の間に中南米で撮ったビーチの写真をまとめたもので、つくりの悪さが売り。4色分解もままならないメキシコ市内の格安の印刷屋で刷られたもので、2000部限定で静かにリリース。水色の表紙が純正ですが、なんとそのピンク版を発見!しかもサイン付き。店員はなぜこれだけピンクなのかわからないようでしたが、マーティンの遊び心をキャッチして即座に購入。もちろん、一緒に正規版も入手。こちらもサイン付でしたが嬉しいことに定価でした。ちなみに表紙に書かれている7ドルはウソです。
■ Martin Parr サイン付きチョコレート(3.95ポンドX1個購入)
これはビンボーなコレクターには嬉しい一品。たかが7センチあまりの板チョコですが、ここに来なきゃ買えない代物で、超レア。しかもサイン付。値段もサイン付が3.95ポンド、サイン無しが1.95ポンドとカタログを買うよりずっと安いのも魅力(ボルティックの在庫の残りはあと30点程度)。ニューキャッスルくんだりまでわざわざ行ってよかったと思うように、地方の美術館はもっとこういう工夫をするとよいなと思いました。おかげで帰りの道中はいい気分でした。
■ スポットペインティングもどきティッシュペーパー(95ペンスx1個購入)
これは残念ながらハースト公認のティッシュではなくて、書店の店員が展覧会にぴったりだと思ってどこかから調達したもの。確かにデミアンに訴えらえないかと思うくらいスポット・ペインティングにそっくりなデザイン。他に特におもしろい物が見当たらなかったので、話の種にゲット。
追記:
〇 マーティンに取材した記事が11月20日発売の『PhotoGRAPHICA』に載ります。
http://www.mdn.co.jp/content/view/8299/
〇 マーティンとデミアンの展示の詳細についてはいずれ『fogless』に掲載したいと思ってます。
http://www.fogless.net
リンク:
Balticのサイトへはこちらから
http://www.balticmill.com/
最後に…
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- 09/11/12 22:48
- ニューキャッスル訪問
