桜花欄漫~「春の名品展」後期スタート

群馬・ハラ ミュージアム アークより

ゴールデンウィークに入ると、アーク周辺はソメイヨシノにかわって八重桜が見ごろの時期を迎えます。
隣接する伊香保グリーン牧場には八重桜の並木道もあり、いちだんと華やかな美しさを味わうことができます。

こちらは特別展示室「觀海庵」へ向かう回廊から見える桜並木。
新緑に八重桜が映えて、とてもきれいな眺めになります。

桜を堪能した後は、美術鑑賞をお楽しみください。
29日からは「原六郎コレクション―春の名品展」の後期が始まります。觀海庵では古美術作品を展示替えし、水墨画をじっくり味わっていただける内容になりましたので、いくつか紹介いたします。


狩野探幽「李白観瀑図」(『狩野派寄合書』のうち) 一幅 江戸時代 17世紀


狩野探幽「太公望釣浜図」(『狩野派寄合書』のうち) 一幅 江戸時代 17世紀

『狩野派寄合書』は、もとは中国の故事人物を描いた六曲一双屏風であったと考えられ、全部で12図あります。そのなかで、探幽(1602-74)は「李白観瀑図(りはくかんばくず)」・「太公望釣浜図(たいこうぼうちょうひんず)」の2図を担当しています。技術的には未熟と評されますが、肥痩の強い衣の線などに、父・孝信(1571-1618)に学んだ跡が見てとれ、探幽10代の作品として注目されるものです。
李白(701-762)は唐時代の詩人。廬山(ろざん)の滝を目の前に詩想を練る様子が描かれています。李白の七言絶句「望廬山瀑布(廬山の瀑布を望む)」に基づくもので、水墨画のテーマとして古くから描かれてきました。
太公望(呂尚、りょしょう)は周代の軍師。紀元前11世紀、周王朝を建国した文王とその息子武王に仕え、殷(いん)を倒しました。釣りをしていたところを文王に見いだされ、「先君の太公(=祖父)が望んだ人物」として、太公望と呼ばれたという故事が伝えられます。


狩野派「花鳥図」(三井寺旧日光院客殿障壁画) 四幅のうち 桃山~江戸時代 16~17世紀

中世以来の伝統を受け継ぐ狩野派が描いた花鳥図。桃山時代の水墨画の様式を伝えています。かつて滋賀県・三井寺(園城寺)(みいでら、おんじょうじ)の日光院客殿を飾った襖絵の一部で、現在は掛軸に改装されています。原六郎は、この日光院客殿を建物ごと買い取り、明治25年(1892)に品川御殿山(現東京・品川区北品川)の自邸に移築しました。
水際で遊ぶ鴨たち、岩にとまるセキレイ、大きな松の枝にとまる山鳩のつがいなどが柔らかな筆づかいで描かれています。水鳥は豊かさと幸福を象徴し、つがいで描かれると夫婦の和合と子孫繁栄を意味しますから、おめでたい絵として鑑賞できます。

華やかな桜とは対照的な空間ですけれども、
「墨は五彩を兼ねる」と言われます。墨の色から色彩を感じとり、無限に広がる色の世界を想像して鑑賞するのも楽しみ方の1つです。
うららかな春の休日、お花見がてらお出かけください。

【後期出品作品】
・古美術
手鑑「麗藻台」 一帖 奈良~室町時代 /狩野派「花鳥図」(三井寺旧日光院客殿障屏画) 四幅 桃山~江戸時代/狩野探幽「太公望釣浜図」(狩野派寄合書) 一幅 江戸時代/狩野探幽「李白観瀑図」(狩野派寄合書) 一幅 江戸時代 /徐霖「四季山水図」 四幅対 明時代 ほか
・現代美術
アニッシュ カプーア「虚空」 1992年/マーク ロスコ「赤に赤」1969年/セザール「バレンタイン」 1956年 ほか

——————————————————-
ハラ ミュージアム アーク展覧会
◆觀海庵
原六郎コレクション―春の名品展
後期 4月29日[金・祝]-6月1日[水]、6月4日[土]・5日[日]
◆現代美術ギャラリー
宇・宙(コスモス)―原美術館コレクション展
3月26日[土]-6月26日[日]
*会期中毎週日曜日(2:30pmより1時間程度)、予約制にて学芸員によるギャラリーガイドおよび開架式収蔵庫(現代美術)の特別公開(中学生以上対象)を行ないます。

休館日 木曜日(5月5日は開館)
開館時間
*詳しくはこちらをご覧ください。(2011/04/01更新)
入館料 大人(中学生以上)¥1000 こども(3歳-小学生)¥500
      4月29日-5月5日はグリーン牧場とのセット券はご利用いただけません

〈公式WEBサイト〉http://www.haramuseum.or.jp
〈携帯サイト〉http://mobile.haramuseum.or.jp

——————————————————-
◇電車のご案内◇
*変更の可能性がありますので、事前に必ずご確認ください

《JR「上越・長野」新幹線利用の場合》 
〈東京駅発→高碕駅で在来線の上越・吾妻線に乗り換え→渋川駅着〉

・10:12東京発→11:01高崎着/11:11高崎発→11:35渋川着
・11:12東京発→12:03高崎着/12:20高崎発→12:44渋川着 
・12:24東京発→13:14高崎着/13:31高崎発→13:56渋川着

《JR上越線新特急「草津」利用の場合》
〈上野駅→渋川駅着〉

・ 9:00上野発→10:37 渋川着 (31号 ※土休日のみ運転)
・10:00上野発→11:43渋川着 (3号 ※4月中は土休日のみ運転)
・12:00上野発→13:45 渋川着 (5号 ※4月中は土休日のみ運転)

渋川駅からは関越交通バスに乗り「グリーン牧場前」で下車します。
http://www.kan-etsu.net/r-bus/timetable/shibu-ikaho-1.htm

バス停より徒歩7分で当館に到着します。

◇お車のご案内◇
関越自動車道「渋川・伊香保I.C.」より伊香保温泉に向かって8km、約15分。

高速道路について
E-NEXCOドライブプラザ http://www.driveplaza.com/

Copyrighted Image